相続対策は何をすればいい?60歳の方必見!今からできる準備と節税
相続対策は何をすればいいかご存じですか?
士業の方に相談する前に多少の知識はインプットしておきたい。
そもそもだけど、何が問題になりやすいの?
損はしたくないけど、対策ってあるの?
生前贈与すべきものってあるの?
などなど、相続に関する疑問は多数ありますよね。
相続診断士であり、貴重品の鑑定や仕分けを行う筆者が分かりやすく簡単にまとめてみました。
相続対策とは?
なぜなら、人生において十回も二十回も発生する事のない問題であり、1人で進める事は困難な問題だからです。
相続対策は大きく「3つの分類」にわけることができます。
1.遺産分割対策
2.節税対策
3.納税対策
この3つです。
1つ目の「遺産分割対策」は資産を誰に相続させるのか、どのように相続させる(分ける)のか、これがメインのテーマです。
する事としては、遺言書を作成したり、相続時に相続人に分割しやすいように1棟の賃貸マンションを事前に売却し、区分所有ができるワンルームマンションに組み替えたりする等といったものです。
相続と言えば、家族間での骨肉の争いが起きやすい要因の1つとされています。
近年では、遺産相続という言葉イコール相続争いと勘違いされている方もいらっしゃるのですが、相続争いのことを争族(あらそうぞく)と皮肉った言葉まで広まり、相続時のシーンで貴重品や純金資産などの鑑定や仕分けに従事する私達も日常的に耳にする言葉です。
2つ目の「節税対策」はシンプルに相続税を安くする対策です。
相続税は簡単に言うと、相続財産の価額から控除額を引いたものに税率をかけて算出されます。
ということは・・・
1.相続する財産自体を減らす → 生前に贈与する
2.相続する財産の価値(評価額)を下げる → 不動産や特例の活用
3.控除の金額を大きくする → 生命保険の加入や養子縁組等
いずれかを実行すれば、相続税の納付額は小さくなります。
3つ目の「納税対策」は納税する為の資金繰りのことを指します。
節税対策と同様に重要な相続時の税金を納める資金をどう確保しておくかという課題です。
大きくは2つのパターンで手元の資金を増やします。
1.相続時の資金を増やす
2.生前に資金を増やす
ということです。
上記の通り、大きくわけると3つの対策が存在しています。
具体的にすべきことは次の項目で説明させていただきます。
相続対策でやっておくこと
●具体的な遺産分割対策とは
①-1.誰に何を与えるのか遺書に記載する
誰に何をどのくらい与えるのか、被相続人(ご自身)が生前に自分の意志で決めて、それを遺書に記録しておきましょう。
例として、配偶者と子供2人がいるとします。
わかりやすく記載すると、配偶者には自宅(建物と土地)を渡したい。子供Aには現金500万円を渡したい。子供Bは車が好きなので、自動車を渡したい、というような感じです。
遺言を作成しておくことで、被相続人(ご自身)の意志が明確になり、結果、ご家族など、相続人同士の争いを防止または軽減することにつながっていきます。
仮に遺産分割の内容が公平なものでなかった場合でも、遺書に付言事項として、思い(感情)を添えておくことで、故人を尊重し、記載の通り、従いましょうと相続人も納得しやすくなります。
ただし、遺言には書式が厳格に法律で定められています。
必要事項を記入していないと無効になるおそれがありますので、弁護士などの専門家に依頼することをお勧めしています。
①-2.生前に贈与する
遺言は被相続人の死後に実行されます。
誰に何をどのぐらい与えたいと思っているのかが明確になっている場合、ご自身が生きているうちに先に贈与しておくのが確実です。
生前贈与の特徴は、贈与者(ご自身)が受贈者に自ら与えることができるものですので、思い通りに確実に財産を分割することが可能です。
贈与を済ませておけば、被相続人の財産ではなくなりますので、相続税の課税対象とならない為、節税につながります。
しかし、不公平な生前贈与と思われてしまうことで家族間の争いに発展するケースもありますので、周りをよく見て、考えて、行うことが望ましいでしょう。
●具体的な節税対策とは
②-1.相続財産自体を減らしておく
相続財産自体を減らす方法として一般的に用いられるのが生前贈与です。
生前贈与にも贈与税がかかりますが、年間110万円までの贈与については控除され、贈与税が発生しません。
例として、110万円の生前贈与を10年間続ければ、合計1,100万円の相続対象となる財産を減少させることができたことになります。
毎年110万円まで分割して引き継ぎが可能な現金などの財産については、積極的に生前に贈与を進めておくことをお勧めいたします。
また、住宅の購入資金や教育に使用する学費、子育てや結婚など、特別な目的のために子供や孫に財産を生前贈与する場合は、贈与税が発生しない特例もあります。
ただ気を付けなければならないこととして、毎年決まった時期に決まった金額を渡したり、あらかじめ1000万円を10年間に分けて渡す、などの取り決めを行うと、通年贈与、定期贈与の枠組みになり、贈与税が発生することがありますので、時期をずらしたり、金額を変えるなどの工夫が必要です。もちろん他の贈与などと合わせて毎年の非課税枠の110万円を越えないことが条件です。
また、亡くなる3年前までの贈与は、生前贈与とは認められず、相続税の対象になりますので、10年生前贈与を行って亡くなった場合は7年目まで非課税、3年は相続税の対象になります。
孫のために口座を作成し、そこに入金して生前贈与を行うパターンが見られますが、孫が口座の存在を知らない、印鑑を持っておらず親が管理しているという状況では贈与税が発生してしまいますので気を付けましょう。
●相続税に関する特例(一部抜粋)
配偶者控除・・・・・・・婚姻期間20年以上の配偶者から、居住用不動産の贈与について、最高2,000万円の控除
住宅資金の特例・・・・・直系尊属から20歳以上の子供/孫への住宅取得用の資金に対して、最高1,200万円を非課税(年度により金額は変動)
教育資金の特例・・・・・直系尊属から30歳未満の子供/孫への教育資金に対して、最高1,500万円を非課税
結婚子育て資金の特例・・直系尊属から20歳以上50歳未満の子供/孫への結婚・子育て資金に対して、最高1,000万円を非課税
相続時精算課税制度・・・60歳以上の直系尊属から20歳以上の子供/孫へのすべての贈与財産に対して、最高2,500万円を非課税 ※相続時には相続税として課税
②-2.相続する財産の価値(評価額)を下げておく
財産そのものを減らすということではなく、相続時の財産の評価額を減らす方法をご紹介します。
I.小規模宅地等の特例
相続税の考え方として、「居住用の財産については、住むためのものであり、課税するのは良くない」というものがあります。
被相続人と相続人が同居し、生活を共にしている場合、その家に住む人がその土地を引き継ぐ際に面積330㎡(約100坪)までは評価額が80%減額となります。
例えば、2億円の土地の場合、80%減額で4,000万円まで評価額が下がることになります。その為、自宅を引き継ぐ場合は、あらかじめ引き継ぐ予定の人と同居しておくと良いです。
また、事業をされている場合、事業を引き継ぐ人にその事業用の土地を相続する場合も小規模宅地等の特例を活用することが可能です。
Ⅱ.不動産の購入を検討
相続時に現金と同じ価値のある不動産を保有している場合、相続税の計算上は不動産の方が財産価値が低くなることが多くあります。
概算ですが、約80%前後の評価をされるケースが多いようです。そのため、もし、現金が余っていて、節税をしたい場合は不動産を購入しておくことで節税対策にもなります。
もちろん、不動産は都市計画や再開発など、外的環境の変化や政府の政策による影響によっても価値が変動する可能性がある財産です。
実際に節税対策として、不動産を購入される場合は相続する時に価値がどう変化していくのかを想定してから購入する必要があります。
Ⅲ.不動産を賃貸する
既に不動産を保有されている場合は賃貸することも考えてみることをお勧めしています。
賃貸している不動産については相続発生時に簡単に売却することは難易度が高いものです。そのため、相続税の計算上、価値が低く見積もりされます。
遊休地がある場合、賃貸マンションやアパートなどを建設することで節税することができるため、人口が減少している地方の都市にも新築アパートが増えています。
現金を不動産に先ずは変えておくことで節税効果があるのはもちろん、そのマンションを賃貸することで相続税の計算上、価値は低くなります。
もちろん、空き部屋については、賃貸していないものとみなされるため、建設する立地などは注意しなければなりません。
信頼できる業者なのか、一括借上制度が使えるかどうかなど、十分に確認して発注されることをお勧めしています。
Ⅳ.事業承継税制を適用する
会社を経営されている場合、その会社の株式は相続財産となります。
経営している会社が多くの利益を出していたり、固定資産を多く所有している場合、株式の価値も併せて高くなります。
国としても法人税による税収は大きい為、会社には継続してほしいということもあり、会社を承継する人がその株を相続する場合には、全体の3分の2(66.7%前後)については、80%を納税猶予する特例が準備されています。
ただし、従業員の雇用など様々な条件が存在する特例のため、企業経営をされている場合は早めに税理士と相談する必要があります。
②-3.控除額を大きくする
相続税の控除額を大きくする代表的な方法には、生命保険の加入と養子縁組の2つがあります。
Ⅰ.生命保険の加入
生命保険は、加入者がお亡くなりになったときにご遺族が生活に困らないために加入しておくものです。
さすがに生命保険の死亡保険金にまで相続税をかけるのは良くないでしょうという考えの下、生命保険についても「~までは相続税をかけない」という控除枠が設けられています。
具体的には、相続人1人あたり500万円の控除があります。
相続人が3人の場合は合計1,500万円まで相続税はかかりません。
現金に余裕がある場合は生命保険に加入しておくことを考えましょう。
※加入期間が短い場合は対象にならなかったり、掛金よりも少ない金額しか戻ってこない場合もありますので、加入前に注意は必要です。保険会社と提携している税理士事務所も多いため、生命保険に加入する前にはお付き合いのある税理士事務所などに相談してみるのも良いでしょう。
Ⅱ.養子縁組
税金には、どんな人でも受けることができる「基礎控除」が存在していています。
相続税の場合、基礎控除の計算は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」となっています。つまり、法定相続人の数が多ければ多いほど控除額は大きくなります。
結果、よく使われるのが、養子縁組です。実子がいる場合は1人までですが、実子がいない場合は2人まで、養子にすることが認められています。
とはいえ、他人を養子に入れることに難色を示される方も多いため、よく用いられるケースとして、孫を養子に入れることです。
世代を1つ飛ばして相続することは可能ですが、養子にした孫への相続税については20%加算されるため、注意が必要です。
養子縁組は他の相続人の相続分が少なくなることから、何らかのトラブルになりますので、事前に十分な注意が必要です。
③具体的な納税資金対策とは
納税資金対策としてすべきことは大きく2つございます。
③-1.相続時の資金を増やす
相続税は現金で納める方法のほかに、相続された不動産などの物で納める物納もありますが、手続きが複雑であることや条件面が厳しいため、ほぼ使われることはありません。
そのため、相続時の資金を単純に増やす必要があります。
そこで用いられるのが、下記の表にもありますが、節税対策になる生命保険の活用です。
生命保険は、毎月一定額の支払いができること、相続時には一括でまとまったお金が入ること、節税になるという点から、納税資金対策に最適です。
また、生命保険金は受取人固有の財産ですので、他の相続人に分ける必要はありません。よって、代償分割などの急な資金用途にも利用できます。
③ー2.生前に資金を増やす
生前に納税のことを考えて資金を増やす方法があります。
Ⅰ.遊休の資産を売却する
手元の資金を増やす為には、不動産などの資産を生前に売却するという方法が代表的です。
ただ、現在の事業や生活で使用している資産を売却することはできないという点です。
保有資産として、空き地などの遊休状態の資産をお持ちの場合には、売却することで納税のための資金を増やす事ができます。
もちろん、売却益が出れば、所得税を支払う義務がありますので、事前の試算を十分に行う必要があります。
Ⅱ.賃貸事業を開始する
アパートや自宅・別荘など、ニーズがあり、賃貸が可能な物件については、賃貸事業を開始するのも生前に資金を増やす方法の1つです。
賃貸事業を始めれば、毎月、物件によりますが、それなりの家賃収入が入ってくるためです。
経費を差し引いた残りがご自身の預金に残るはずですので、相続税を納める資金として充当させることが可能です。
ただし、毎年利益に対して所得税を支払う必要はありますので、月次収支についてはキチンと管理しておきましょう。
相続対策を行う目的
遺産分割、納税対策、節税対策をなぜ行うべきなのか。
それは、被相続人が相続人の間で増えている相続争いを減らし、被相続人の想いや託された財産を次世代に繋ぐためだと思います。
相続争いは誰にでも起こりうる身近な問題です。
実際、相続相談の現場では「○○があんなに変わるとは思わなかった」といった声を耳にします。
参考データとして、家庭裁判所で発生している相続関連の相談件数は平成12年度に90,062件、約10年後に177,125件と約2倍の問い合わせ件数となっています。
相続発生時の裁判所に相談している割合は14.8%まで達しています。
これは、誰かが亡くなった時に、約15%の割合で裁判所へ相談していることになります。
相続税とは?
被相続人(亡くなられた方)の遺産(相続財産)を相続で受け継いだ場合や、遺言によって遺産を受け継いだ場合に、遺産する財産総額が大きい場合に発生します。
以下の表の通り、課税価格や相続人の人数に応じて控除額が決定され、相続財産の内、課税対象に応じた相続税を支払をすることになります。
※ここでは相続人が子供だけの場合を例に表にさせていただいています。
子供だけが相続人の場合 | ||||
---|---|---|---|---|
遺産総額 | 子供1人 | 子供2人 | 子供3人 | 子供4人 |
5,000万円 | 160万円 | 80万円 | 20万円 | 0円 |
6,000万円 | 310万円 | 180万円 | 120万円 | 60万円 |
7,000万円 | 480万円 | 320万円 | 220万円 | 160万円 |
8000万円 | 680万円 | 470万円 | 330万円 | 260万円 |
9,000万円 | 920万円 | 620万円 | 480万円 | 360万円 |
1億円 | 1,220万円 | 770万円 | 630万円 | 490万円 |
1.5億円 | 2,860万円 | 1,840万円 | 1,440万円 | 1,240万円 |
2億円 | 4,860万円 | 3,340万円 | 2,460万円 | 2,120万円 |
2.5億円 | 6,930万円 | 4,920万円 | 3,960万円 | 3,120万円 |
3億円 | 9,180万円 | 6,920万円 | 5,460万円 | 4,580万円 |
5億円 | 1億9,000万円 | 1億5,210万円 | 1億2,980万円 | 1億1,040万円 |
10億円 | 4億5,820万円 | 3億9,500万円 | 3億5,000万円 | 3億1,770万円 |
20億円 | 10億820万円 | 9億3,290万円 | 8億5,760万円 | 8億500万円 |
30億円 | 15億5,820万円 | 14億8,290万円 | 14億760万円 | 13億3,230万円 |
50億円 | 26億5,820万円 | 25億8,290万円 | 25億759万円 | 24億3,230万円 |
相続財産から下記の公式の通り、基礎控除額をマイナスした額面に対して、相続税の率などが変わってきます。
相続税の基礎控除額の計算式 3,000万円+(600万円×法定相続人の数)=相続税の基礎控除額
※最高税率は55%と所得税と同様に非常に高い税率となっていますが、国際競争力強化の観点から法人税が減税傾向にある中で膨れ上がる社会保障費用を捻出することが難しいため、相続税や贈与税などの税率が高くなっています。
こんな場合も・・・
遺産のなかに不動産があり、それなりの評価額がつくような場合、相続財産となる預金財産で相続税を支払えないというケースも出てきます。
相続人自身の保有している財産(現金)で支払うのか、銀行で借入れをしたり、保有している一部の不動産を売却して税金を納める方もいらっしゃいます。
相続税の物納(土地・建物や美術品等)は実務的に活用されていない為、預金財産がほとんどないというケース場合には、早急に相続税率、相続税額を把握した上で、どうしたら納税することができるのかを検討する必要があります。
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相続税と贈与税の違い
相続税とは、亡くなった人の財産を相続人がもらうときに、支払わなければならない税金です。
これに対し、贈与税とは、生きている人から財産を無償でもらったときに、支払わなければならない税金を指します。
・死んだ人から財産をもらう =相続税
・生きている人から財産をもらう =贈与税
シンプルに記載させていただくと、これが相続税と贈与税のいちばん大きな違いです。
具体的に異なる点
①基礎控除が異なる
基礎控除とは、財産が一定金額以下であれば税金が発生しないというものです。
相続税の基礎控除の金額は、3000万円+法定相続人の人数×600万円という数式があります。
たとえば法定相続人が2人なら、3000万円+2人×600万円=4200万円です。
基礎控除が4200万円ということは、残された相続財産が4200万円以下なら、相続税は支払わなくてよいということです。
これに対して贈与税の基礎控除は、1年につき「110万円」と決められています。
1年間に受けた贈与税が110万円を超えた場合は、110万円を超えた部分につき贈与税がかかります。
税率は、相続税も贈与税も累進課税となっていますので、相続や贈与でもらった財産が多ければ多いほど、税率が高くなっていきます。
相続税の基礎控除額 | |
---|---|
法定相続人 | 基礎控除額 |
1人 | 3,600万円 |
2人 | 4,200万円 |
3人 | 4,800万円 |
4人 | 5,400万円 |
5人 | 6,000万円 |
贈与税の基礎控除額 | ||
---|---|---|
基礎控除後の課税価格 | 一般税率 | 特例税率 |
~200万円以下 | (一般贈与財産) | (特例贈与財産) |
200万円~300万円以下 | 10% | 10% |
300万円~400万円以下 | 15% | 15% |
400万円~600万円以下 | 20% | 15% |
600万円~1000万円以下 | 30% | 20% |
1000万円~1500万円以下 | 40% | 30% |
1500万円~3000万円以下 | 50% | 40% |
3000万円~4500万円以下 | 55% | 50% |
4500万円~ | 55% | 55% |
②相続時精算課税も贈与税の一種
相続時精算課税制度というものが存在します。
これは65歳以上の親から子供へ贈与する場合、2500万円までは非課税となる制度です。
また、相続が発生した時に相続税が発生する程度の財産が残っているのであれば、 相続税の計算を行う際、2500万円の贈与も相続財産に含めて計算するというものです。
相続時精算課税制度という名前がついているため、相続税の特例のように思われがちな制度ですが、れっきとした贈与税の特例です。
生きている人から財産をもらって非課税となる制度ですので、税法上で贈与税の特例となります。
相続時精算課税制度の2500万円を超える部分の贈与については一律20%の税金がかかってきます。
相続税対策をした方がいい人は?
相続税対策をした方が良い人は大きく分けると2通りです。
①控除を受けた後の相続財産に対して発生する相続税を現金一括で支払いが出来ない方
②控除を受けた後の相続財産に対して発生する相続税が大きく、できる限り節税したい方
上記を踏まえ、まず始めに、相続の対象になる財産をご自身(被相続人)と家族(相続人)が相互に理解した上で、相続税対策を講じること望ましいということはわかると思います。
相続診断士の立場からも、生前整理(終活)を進める際、エンディングノートや遺書の準備を推奨させていただいていますが、その中の1つに財産の目録(一覧)があります。
急に親や子供が亡くなり、自宅や保有している土地、株券、ゴルフ会員権、リゾート会員権、仮想通貨、純金資産、美術品など、何がどんな状態で残されているのかどうか分からず困っている方は少なくありません。
財産目録として財産を整理したり、家系図を理解し、法定相続人が誰になるのか等も含め、とても大切なことです。大切な家族、お子様、お孫様だからこそ、困らせないように生前に相続対策としての生前贈与や相続税対策や納税資金対策を進めていくことが重要であるかは既にご理解いただけているかと思います。
ちなみに、死亡者数に対する相続税の課税件数の割合はどのくらい存在しているのか。
参考データですが、2017年は全体の8.3%、実際に課税があった被相続人(死亡者)の数は100名に対して8名前後ということです。
また、課税があった被相続人1人に対する相続税額の平均は、1,807万円となりました。
2015年以降、相続税の基礎控除額が縮小されたことで、課税対象数は2014年の4.4%から8%台に増加しています。
消費税の増税、法人税の減税、所得税の増税も併せて進む中、財政健全化を進めていく為には、財産を保有している人に納税をして貰いたいという事なのでしょう。
相続税は今後も上がる可能性があり、基礎控除額の縮小も進む可能性があるということ、これを認識した上で、財産目録を作成したり、ご自宅の査定をされたりすると、特に都内や関東圏や都市部にご自宅がある場合には、相続税対策なども他人事ではないということにお気づきになる方も多いのではないのではないでしょうか。
目からうろこ!純金資産の分割による節税とは?
簡単に記載させていただきますが、1キロの純金の地金(インゴッド)を、100グラムのバー10本に分割加工するサービスを利用し、子や配偶者に試算を受け渡す際にかかる相続税や贈与税の節税の方法の1つです。
もちろん、加工にかかる手数料は発生しますが、1キロの純金資産を生前にキャッシュ化すれば、所得税申告や贈与税の課税対象となるため、免れるために利用される方が多いサービスです。
例えば、1キロの地金(2019年10月21日現在:565万円前後)を成人した子に贈与した場合、年110万円の基礎控除(非課税分)を差し引いた455万円に対し、20%の税率で91万円、30万円の控除を受けても61万円の贈与税が子にかかります。
これを100グラムのバー10本に小分けした場合、1本の時価は56.5万円になり基礎控除額110万円を下回ることになります。この小分けにしたバーを子1人につき年1本~2本程度(金の相場による)を譲渡していけば、税金を支払うことなく、資産の受け渡しが可能となり、手数料が20万円前後が発生した場合でも、節税の効果が得られます。
また、譲渡以外に、単純に純金を売却するときに節税としても役立つことができます。
金を売却(リサイクルショップや質店や地金商など)して得たお金は「譲渡所得」として扱われるため、年50万円の特別控除(非課税分)を超えると所得税が課税されます。
給与や役員報酬や家賃収入などの所得と合算した課税所得が大きくなれば、累進課税で税率も高くなります。
やはり、1キロ単位で売却するよりも、売却額が特別控除の枠内で納めるためには、100グラム単位で売却した方が所得税の節税においてメリットとなります。
金価格は2000年前頃に1グラム900円台でしたが、2019年10月現在では、5,000円を超えています。
譲るのも良し、売却も良しということもあり、目からうろこの「純金資産の小分けサービス」による節税対策の人気はまだまだ続くでしょう。
《参考まで》
リサイクルショップや質店では、受付していない(できない)店舗の方が多いため、実は純金資産の小分けサービス自体、知らない方も多くいらっしゃいます。万が一、探されている方はエコスタイルにお任せいただくことが可能です。ご一考くださいませ。
相続対策で注意するポイント
お客様の相続診断を行う際によく質問されることですが、時間をかけて少しずつ貯めておいた自宅にある現金を、そのまま相続人が受け取れるようにしてしまえば、相続税の対策にならないの?というご質問です。
確かにバレなければ・・・と安易に思ってしまうかもしれませんが、相続税対策とは言えず、脱税です。
あくまで相続税の対策とは、法律にのっとり行う対策のことを指します。
もし、税務調査が入れば、過去何年も遡って細かに行われるため、隠し通すことは難しいはずです。
また、時効となるまでの期間も7年間です。
その間、怯えながら暮らすことを想像してみてください。精神的ダメージを受けることは間違いありません。
脱税が万が一、明らかになれば、追徴課税や延滞税などが課される可能性が高いということ、刑事告訴された場合は有罪となり、10年以下の懲役または1000万円以下の罰金に処せられる可能性さえあるため、法律にのっとった相続税対策を行う必要があります。
まとめ
ここまで紹介させていただきました相続税の対策の他にも、対策や控除などの制度は多数ございます。
ただ、結局、相続対策とは相続税の節税対策を法律に従い、必要以上に相続財産が目減りすることを避ける対策だということです。
課税される遺産総額を抑え、基礎控除額を増やし、非課税制度や税額軽減制度を理解し、正しく活用しましょう。
遺産分割対策と節税対策と納税対策をしっかり進めておくことが重要です。
ご紹介しきれていないことも一部ございますが、列記してみました。
・堅苦しくない程度のエンディングノートの作成から始め、遺書を用意して、どう遺産を分割したいのか決めておく。
・贈与税の基礎控除(110万円)を毎年利用しながら相続税の課税対象となる財産をあらかじめ減らしていく。
・収益物件を生前贈与し、収益分を直接下の世代(子供や孫など)にいくようにする。
・教育資金贈与の非課税制度を利用して、1500万円を非課税で一括贈与する。
・贈与税の配偶者控除で2000万円を非課税で贈与する。
・相続時精算課税を選択する。
・生命保険による相続税対策をする。
・不動産による相続税対策として、アパートやマンション経営、小規模宅地等の特例の活用や地積規模の大きな宅地の評価の活用、タワーマンションの高層階の購入をする。
・その他、養子縁組や墓地などの生前購入をする。
相続税や贈与税については、国税庁のHPにて、一般的な相続税・贈与税の取扱いについては調べることが可能です。ただし、節税については教えてくれることはありません。
やはり、税理士さんなどの専門家に個別に相談することが望ましいのが実態です。ただ、そもそも相談するべきことなのか、相続は未だ先だけれど、相続について税金以外の面でも広く抑えておきたいという方は相続診断士などの民間資格を保有している方に気軽に相談してみてることもお勧めしています。
※当社にも相続診断士が在籍しております。事前予約制ですが、個別での無料相談も行っております。お気軽にご相談ください。
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