金は金属アレルギーになりにくい?金属の種類と落とし穴
金属アレルギーとは溶けだした金属イオンと体が反応して起こるアレルギー症状です。
金は金属アレルギーになりにくいのか?むしろ、金属アレルギーになりやすい金属の種類は何か?
金属アレルギーにおける思わぬ落とし穴に至るまで記載させていただきます。
事例1.メッキのピアスを耳に入れたら発症してしまった。
事例2.今までは大丈夫だったけど、ある指輪を購入してはめていたら発症してしまった。
事例3.時計をラバーからステンレスに変えたら発症してしまった。
私達のお店に買取査定に来られる方の売却される理由の1つに金属アレルギーがあります。
今回は金属アレルギーに関する原理や疑問にお答えいたします。
金属アレルギーとはどういうもの?
症状には大きく2つの種類が存在します。
●接触皮膚炎(せっしょくひふえん)
金属部分が直接肌に触れた部位に発症する金属アレルギーです。
金属製のアクセサリー(指輪やネックレスやピアス等)を身につけたとき、触れた部位やその周辺に赤みを生じたり、かゆみを生じたりします。
●全身性金属皮膚炎(ぜんしんせいきんぞくひふえん)
歯医者での治療で使用された銀歯の金属部分や食品に含まれる金属などが、口の中の粘膜(ねんまく)や消化管を経て全身にいきわたり、あらゆる身体部位にあらわれる金属アレルギーです。
酷い症状になると、手足にウミが出てしまう掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)であったり、手や足に水ぶくれができてしまう汗疱状湿疹(かんぽうじょうしっしん)などになります。
金属アレルギーは発症する方が多いアレルギーです。
日本人であれば、10人に1人が発症しているといわれるほど一般的な皮膚疾患です。大人になって急に発症するケースが多くみられます。
一度、発症された方の多くはアクセサリー類を二度装着されないなど、敏感かつアクセサリーの購入や装着に億劫になるケースが多いです。
金は金属アレルギーになる?ならない?
結論から入りますが、金はアレルギーになりづらい金属です。
なりづらいという表記をさせていただいている理由ですが、純金以外の純度の金製品については、混ぜている割り金が金属アレルギーを引き起こしてしまうケースがあります。
混ぜている割り金の素材は複数あります。
パラジウム、イリジウム、ルテニウムなどは金製品の割り金として用いられており、ロジウムは、ホワイトゴールドのメッキの材料として重宝されています。
つまり、純金(K24)はイオン化しずらいため、ほとんど金属アレルギーを発症することがありません。
一方、ジュエリーに向いている硬めの純度である18金(K18)は25%、14金(K14)は41.67%割り金を使用しており、鉄や銅、パラジウムなどを使用する分アレルギー反応がでやすくなるというわけです。
金の中でも金属アレルギーが出やすいものがある
金製品のジュエリーとして使用される地金ですが、イエローゴールド、ホワイトゴールド、ピンクゴールドが主なカラーゴールドです。
その中でも、ホワイトゴールドやピンクゴールドは割り金として使用している素材(銅やパラジウム等)が多く含まれるため、イオン化しやすくアレルギー反応が出やすい金製品です。
各カラーゴールドごとの特徴などをまとめた記事もありますのでこちらもご確認ください。
>>イエローゴールドとは何のこと?意味と特徴とお手入れ方法
>>ピンクゴールドとは何のこと?意味と特徴とお手入れ方法
>>ホワイトゴールドとは何のこと?意味と特徴とお手入れ方法
また、メッキ製品も同様に金属アレルギーを発症しやすい素材です。
メッキ製品は衝撃を受けるとコーティングが剥がれやすいため、下地に使用されたニッケルなどでアレルギーを発症しやすいです。
上記の理由があるため、結婚指輪など長く使用されるものは反応しづらい純プラチナ製品や金製品でも純度が高いK22・K20を土台に使用された指輪を選ばれるのが望ましいです。
金メッキに関して詳しく説明した記事もありますのでこちらもご確認ください。
>>金メッキとはどういうもの?特徴と注意点
アレルギー反応は結婚後、10年、20年を経て発症することもゼロではないということ、金の純度が下がるにつれアレルギーの発症率は比例しやすいという事実を認識された上で、一生に何度もない大切なお買い物を楽しまれてはいかがでしょうか。
金属アレルギーになる原理
金属アレルギーになる原理ですが、汗などにより金属がイオン化し、体内に入り込むことで免疫が反応し、許容範囲を超えたときに金属アレルギーとして発症します。
一度、発症されると、以降すぐに反応するようになることが多いです。
食べ物と同じく許容範囲は人により様々ですので、許容量や許容時間などは一概には言えないものです。
「ピアスで耳がかゆくなって掻いてしまう」
「ネックレスで首が赤くただれてしまう」
「手のひらの荒れが治らず、赤みがひかない」
上記のような症状が出てきた場合、アレルギー反応が出ている証拠です。
汗をかきやすい体質の方やタトゥー等を彫られている方がなりやすい等の記載をされているコラムもみかけますが、それだけではありませんので、症状かなぁと思われた場合、皮膚科に足を運ばれることをお勧めします。
選べる買取システム
3つの買取方法をご用意しております。
お客様のライフスタイルに合わせた買取方法をご選択ください。
金属アレルギーになりづらい金属
基本的には、金、プラチナ、純度の高いシルバー、チタンなどは比較的安心して装着することができる製品です。
ジュエリーショップに行かれる方は見かけたことがあると思いますが、数百円のアクセサリー売り場の中に1,000円以上のピアス等には「チタンポスト」などのシールが貼られていたり、18金などの表記があります。
これは、金メッキ製品ではない事を表示することでアレルギー反応が出る方の誤った商品選びを未然に防ぐためのものです。
もちろん、金やプラチナ製のジュエリーは安価で提供が出来るように純度をあえて低くし、割り金を多めに混ぜる製品も多くあります。
※K10やK9などのジュエリーは敏感な方は注意が必要かもしれません。
これらの点を認識された上で、ジュエリーのご購入を検討してみてください。
金属アレルギーになりやすい金属
結婚指輪やペアリング等に多く使用されているホワイトゴールドやプラチナの割り金に使用されるパラジウムや、ピンクゴールドに使用される銅などがアレルギーになりやすい金属に該当します。
歯科用の金属にもアレルギーの原因になるものが入っていたり、革の鞣し等に使用するクロムで反応される人もいらっしゃります。
以下、金属アレルギー反応が出やすい金属です。金属アレルギーではない方も、できれば下記の金属は避けて生活をした方が安全です。
1.ニッケル
2.コバルト
3.スズ
4.パラジウム
5.クロム
6.銅
7.プラチナ(割り金にパラジウムを使用するため)
8.亜鉛
上記の中にも記載がありますが、金属アレルギーの「3大原因金属」とされているのが「ニッケル」「コバルト」「クロム」の3つです。 厚生労働省による「平成27年度 家庭用品等に係る健康被害病院モニター報告」にある金属パッチのテスト結果を見ると「ニッケル」に反応している人が非常に多い事実が確認できます。 特にニッケルは、金メッキの下地としてよく使用されており、身近な素材です。
金メッキが何らかの衝撃を受け、はがれてニッケルが露出し、ニッケルを原因としたアレルギー反応が出やすくなります。
実は、EU諸国では、ニッケルの使用に規制が存在します。
日本でも、ニッケルの危険性に対する認識が高まっており、「ノンニッケル」や「ニッケルフリー」などの記載が入った製品も販売されているほどです。
出来る限り、ニッケルフリーの製品を選ぶことをお勧めします。
金属アレルギーの予防と対処法とは?
●金属アレルギーの予防策
1.肌に直接触れないよう服の上に身に着ける。
2.汗をかくときは身につけないようにする。
3.常にアクセサリーを綺麗にしておく。使用したら皮脂を拭き取る。
慎重な方であれば、直接体内に入るピアスを避けイヤリングを積極的に選ばれる方もいらっしゃいます。
また、医療機関で事前にご自身が反応する金属を調べておくことも可能です。
●反応が出たあとの対処法
万が一、反応が出てしまった場合、すぐに外して皮膚を洗い流しましょう。
皮膚科等のパッチテストでアレルゲン物質が判明した後は該当の金属を避けるための生活指導を受けましょう。
また、皮膚のかゆみ、赤みが酷い場合はステロイド外用剤や抗ヒスタミン剤を処方されるケースもあります。
金属アレルギーに限らないことですが、アレルギーは“病気”というよりも “体質”です。基本的に治ることはありません。
ご自身のアレルギーの原因と上手な付き合い方をすることが最も良い対処法です。
症状が出たジュエリーはどうする?
残念ですが、買った後にアレルギーが出てしまった場合、そのジュエリーは身に付けないことをおすすめします。
とはいえ、プレゼントされたし、どうしてもつけたいジュエリー等もあるでしょう。その場合は装着する際に市販のコーティング剤などを塗って対処することも可能です。
特にピアスであれば、専用の「メタルコート」という名前の商品もあります。
冠婚葬祭時など、どうしても身に付けなくてはならない場合には、この「メタルコート」を塗れば1日くらいは凌ぐことは可能です。
また、ピアスの針に装着し、ピアス穴と直接肌が触れないようにする樹脂製のプロテクターのようなものもあります。どちらも肌に触れないようにするものですので、アレルギー反応が出ることがほとんどなく安心して使用できます。
その他、パッチテストをした上で、自分が反応していない金属でジュエリーを作り直すということも方法のひとつです。
ただし、リメイクは思った以上にコストがかさみますので、リメイクしてまで装着するのかどうか、採算はどうなのか、注意が必要です。
また、リメイクをするにしても、金やプラチナで作り替えても反応することがあります。基本的には、症状が出たものは今後もアレルギー反応は出てしまうため、肌に触れさせないことが一番です。
とは言え、クローゼットや引き出しにしまっておくことは、高価な物であれば、特にもったいないです。
買取専門店やジュエリーショップ等で買取をされている店舗に持参して売却されることも、手のひとつですね。
まとめ
私達のファッションに金製品は欠かせない存在になっていますが、健康を維持するという観点からの見識を持ち、金製品を上手に身に着けることができると良いということがわかります。
誰にでも起こりうるアレルギーの一種である金属アレルギー。
これまで問題がなかった方でも、大人になってから急に金属アレルギーになってしまうケースは多くあることも紹介させていただきました。
《まとめ》
●発症するメカニズム
1.汗の成分によって金属が溶け、金属がイオン化して、体内に入ることで金属アレルギーが発症する。
2.イオン化しやすい金製品は純度が低く、割り金を使用していたり、メッキ処理に使用されるニッケルが特に多い。
3.傷口があると、さらに金属イオンは体内に侵入しやすくなり、雑菌まで繁殖していた場合、免疫反応が刺激され、アレルギーを発症しやすくなる。
●アレルギー症状(異常)を感じた場合は医師へ相談
かゆみや肌の赤みを感じたら、まずは医師へ相談しましょう。
特に全身型の金属アレルギーは、他の病気とも間違えやすく、金属アレルギーよりも重い病気である可能性もゼロではないためです。
必ず医師に相談するようにしましょう。
●パッチテストで自身のアレルギーの有無を把握する
病院では、アレルギー反応の有無を判別するため、パッチテストや血液検査を実施しています。
気になる方は皮膚科やアレルギー科などに先ずは相談してみましょう。
花粉、ほこり、ダニ、カビ、細菌、動物、食物、寄生虫、薬品、昆虫、職業性アレルゲンなど150以上のアレルゲンが検査可能です。
●金属アレルギーを予防する
金属アレルギーを起こさないために身につけるアクセサリー等の製品の金属部分は常に清潔に保ちましょう。もちろん、素肌も同様に清潔にしておきましょう。
また、なるべく長時間身の装着は避け、暑い日は汗が多いため、取り外すようにしましょう。
金属アレルギーに関する正しい知識を身に着ければ、もっともっとお洒落なファッションライフを楽しむことができそうですね。
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