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2021/12/21エメラルドのエンハンスメントとトリートメントについて

エメラルドのエンハンスメントとトリートメントについてご紹介いたします。聞いただけでは意味が分からないと思いますが、エメラルドは基本的に様々な処理を行なって販売されることが殆どです。

カット以外の加工のことを指しており、無加工の物は非常に高額になります。宝石で加工を行なわない物はダイヤモンドぐらいかもしれません。エンハンスメント、トリートメント、ヒートなど様々な加工がありますが、今回はエンハンスメントとトリートメントをご紹介します。

宝石を専門機関に鑑定に出すと、説明書きにエンハンスメントやトリートメントという単語が出てきます。意味が分からないと、人工ってこと?と思うかもしれません。
  • エンハンスメントとは

    エンハンスメントとは、エメラルドをオイルに浸し内部から表面に出てきた傷の亀裂を落ち着かせるといういわば化粧作業の事を言います。
    このエンハンスメントは数百年にわたり、エメラルドに対して行われてきた作業であり、宝石業界でも正式に認可されている処理方法になります。

    ノンエンハンスメントのエメラルドは、世界の産出量の0.001%未満とされており、10万個の中に1つ程度。とされています。
    購入時は加工がされているからといって怪しむ必要もないので、鑑別所に含浸処理や加熱処理という記載があっても気にしなくて大丈夫です。
  • エンハンスメント2つの処理方法

    エンハンスメントには2つの処理方法があり、加熱処理と含浸処理という方法があります。

    まず、加熱処理とは、高熱を加える事により色を変化させる手法です。
    1000度以上のバーナーで焼くのですが、出る色味はまちまちで、本来持っている美しさを引き出す一般的な処理方法とされています。
    主にルビーやサファイヤなどに使用されており、マーケットに出ているルビーやサファイヤと呼ばれるコランダムの約95%がこの加熱処理がされており、非加熱でランクの高いルビーやサファイヤは特に貴重とされています。
    加熱処理の中には拡散加熱処理という物もあり、他の元素を入れ人工的な処理方法により加工をする事をいいます。
    ルビーやサファイヤでは比較的拡散加熱処理の物も存在します。
  • 含浸処理について

    次に含浸処理ですが、こちらは無職の油や樹脂を宝石に染み込ませる手法です。

    エメラルドもこちらの処理方法が使われ、他にもルビーも含浸処理が施される事があります。
    エメラルドは採鉱時、結晶にすでにインクルージョンが生じたものも多く、カット・研磨、ジュエリー加工などの段階でこれらのインクルージョンが拡大する可能性があります。
    このようなエメラルドの表面に達する特徴を目立たなくするために、透明材の含浸が昔から慣習的に行われてきました。

    氷を透明な水の中に漬けるとその輪郭が見え難くなるように、エメラルドのインクルージョンに屈折率の近い物質が含浸されるとインクルージョンが目立たなくなります。
    エメラルドの屈折率はおよそ1.57〜1.59なので、この屈折率に近似するオイルや樹脂が含浸されています。
    含浸に使われるオイルは昔はシダーウッドオイルが主流でしたが、現在ではオイル樹脂もしくはエポキシ樹脂が使われる事が多く、超音波洗浄などを使用すると含浸処理したオイルが溶け出してしまう恐れがあるのでご注意ください。

    エコスタイルではオイル含有、ノンオイルどちらも買取を行っております。照り、傷、色、サイズなどしっかりと加味して査定しますのでお使いになっていないお品物がございましたら利用しやすい方法でお気軽にご相談ください。

  • トリートメントについて

    トリートメントについてご紹介いたします。エンハンスメントと混同しそうですが、こちらは良い顔をしない方も多くなります。

    エンハンスメントと並んで宝石の色を人工的に変える処理の事をトリートメントといいます。
    エンハンスメントとの大きな違いは、エンハンスメントは宝石本来の色を引き出す改善という認識なのに対して、トリートメントは人工的に違う色に変えてしまうので、改良という認識となります。

    ダイヤモンドに特殊な放射線を当てて、強制的にブルーに変えたり、本来の色とは違う色に変えてしまう為、価値を無くしてしまうという考え方をされることがあります。ブラックダイヤも同じです。
  • 最後に

    エンハンスメントとトリートメントについてご紹介いたしましたが、しっかり理解できましたか?

    宝石の鑑定レポートに、通常エンハンスメントが行われています。や、トリートメントが行われています。等の記載を見かけることがあります。偽物です。というわけではなく、その宝石を美しくするための加工のことを指していますのでご安心ください。
    いうなれば、カットが行われています。と記載されるのと同じぐらいの意味で捉えてもいいかもしれませんね。宝石は基本的にカットするのが当たり前です。それと同じぐらい当たり前なのがエンハンスメントとトリートメントです。

    ただ、途中お伝えしましたが、トリートメントについてはあまりいい顔をしない方が多いのも事実です。石本来の見た目から遠く違うものに変えてしまう為です。ただ、より良い状態で楽しみたいという加工ですので使用するのに気にしなくてもいいと思います。

    ぜひ意味が分かった状態でご自分のお持ちの宝石のレポートを確認してみてください。エメラルド、サファイヤ、ルビーで加工されていない物があれば非常に貴重な石です。一生かかっても一般人では持つ事が出来ない物かもしれません。

この記事を監修した担当者

  • エコスタイル
    吉本訓典
    AACD協会基準判定士、リユース営業士
    エコスタイル鑑定士

    広尾店、銀座本店の鑑定士を経て店舗サポート課に配属され複数店で鑑定士を経験。
    エコスタイルのコンテンツのコラムや買取実績などを担当。鑑定士で培ったブランド知識やメンテナンスの知識を活かしコンテンツを制作している。