2024/08/29オールデンの歴史と魅力｜創業140周年を迎えたその理由とは？

オールデンの歴史と魅力をテーマにした記事を今回はお届けします。オールデンは2024年で創業140周年を迎えたシューズブランドです。

日本でも根強いファンが多く、鑑定士である私もその一人です。「エコスタイル渋谷店」では、オールデンの靴を数多く鑑定して参りました。今までの経験を通して、なぜオールデンがお洒落好きな男性を魅了し続けるのか、理解が深まってきたことがあるので、この記事でお伝えできればと思っております。

オールデン好きな方はもちろん、これからオールデンデビューされる方もぜひ参考にしてください。

• オールデンの歴史

  
  オールデンの歴史を紹介します。オールデンは、アメリカを代表する老舗の革靴ブランドとして知られています。「King of American Shoes」とも称されています。その歴史は140年以上にわたり、伝統と革新を融合させた高品質な紳士靴を生み出し続けてきました。
  
  現在も、男性が1足は持っておきたい、憧れのブランドとして高い人気を誇っています。革靴の名門オールデンの起源や、ブランドの歴史を見ていきましょう。
  
  1.ALDEN SHOE COMPANY（オールデン シュー カンパニー）の創業
  オールデンは、1884年にチャールズ・H・オールデン氏が設立した高級革靴ブランドです。アメリカのマサチューセッツ州ミドルボロウで「ALDEN SHOE COMPANY（オールデン シュー カンパニー）」を創業しました。
  
  現在は、最高峰の既製靴メーカーとして知られています。しかし開業当初はカスタムメイドのブーツ、受注生産によるドレスシューズなど品質の高い紳士靴を取り扱っていました。
  
  ブロックトンの靴工場からはじまり、アメリカを代表する革靴ブランドへと成長していきました。1892年には、生産ラインの拡張に伴い製造工場がミドルボロウからマサチューセッツ州ノースアビントンへ、1931年にはマサチューセッツ州ブロックトンへと移転します。
  
  

  

  鑑定士 河西潤太

  オールデンの品質と職人技にこだわる姿勢は、現在まで受け継がれています。その代表格が、グッドイヤーウェルト製法です。グッドイヤーウェルト製法は耐久性能が高く、かつソールを張り替えをしやすい伝統的な技術で、革靴の製造において採用されています。製品の詳しい説明は後ほどご紹介できればと思います。

  
  
  2.創業者のオールデン氏が引退
  1931年オールデン氏が引退し、経営権をオールデン氏と財務提携をしていたターロウ家に譲渡しました。以降、4代にわたり同族経営をおこなっています。
  
  創業者が退いたのち、オールデンはトラディショナルな革靴だけではなく矯正靴の開発に力を入れ、医療分野でも大きな貢献を果たしました。
  
  1950年以降は、オーソペディック・シューズ（Orthopedic shoes）と呼ばれる、足の治療および運動機能の補助を図るための靴の製造を本格的にスタートさせます。高品質な紳士靴としての機能性と快適な履き心地を両立させる技術は、ここから発展していったのです。
  
  3.タッセルモカシンの誕生
  1948年、オールデンの歴史に新たな1ページが加わります。タッセルモカシンの誕生です。
  
  ハンガリー出身のハリウッド俳優、ポール・ルーカスのオーダーによって初代のタッセルモカシン（ALDEN 660）が開発されました。タッセルモカシンは、組み革紐とタッセル飾りをあしらった靴です。ポール・ルーカスが、渡英した際、英国王の履いていた飾り付きの紐靴を気に入り、それを購入したのち、オールデンによりシンプルな靴の製造を依頼したことが由来と言われています。
  
  オールデンのタッセルモカシンは、アメリカの名門ファッションブランド、Brooks Brothers（ブルックスブラザーズ）に採用され、世の中に広まっていきました。その後563や664など、オールデンを代表するタッセルモカシンが次々と登場していきます。現在もアメリカントラッドの象徴として、多くの紳士に愛用されています。
  
  4. ホーウィン社の救済
  オールデンはブランドの歴史上、つねに高品質な素材にこだわり抜いてきました。特記すべき素材がコードバンです。コードバンとは、農耕用の馬のお尻から採れる皮革（レザー）です。上品な色艶と高級感から、「革のダイヤモンド」とも呼ばれています。
  
  コードバンはアメリカ・シカゴの老舗タンナー・ホーウィン社が商標登録した製品です。1960年代後半、革の需要が減り、ホーウィン社は経営難に陥っていました。このような危機的な状況で、オールデンはホーウィン社のコードバンを2年分買い取り、救済に乗り出します。
  
  この行動により、最高級のコードバンは優先してオールデンに供給され続けています。社長であるアーサー・ターロウ氏が、 毎朝アーサーチェックと呼ばれる、革材の品質チェックを直々におこない、厳格な基準をクリアしているそうです。
  
  5.ファッションシーンで注目されるブランドへ
  1970年、オールデンは最新設備を備えた近代工場を、地元のミドルボロウに建設しました。ブロックトンから、生産拠点を創業の地に置き、現在もこの土地で生産を続けています。
  
  この時期に、オールデンはオーダーメイドブランドから既成靴メーカーへと変貌を遂げます。高品質な素材と職人技を活かしつつ、より多くの人々に製品を届けられるようになりました。開発に取り組んできた医療用矯正靴がファッションシーンでも注目を集めるようになり、幅広い層から支持されるブランドへと成長しました。
  
  1970年代後半には、日本の有名セレクトショップでも販売され、日本国内での人気が一気に高まっていきます。
  
  

• オールデンの魅力とは？

  
  オールデンの魅力は、伝統と革新が織りなす至高の一足にあります。140年以上の歴史で培われた技術と、時代のニーズに応える柔軟性が、他に類を見ない魅力を生み出しています。
  
  1.卓越した素材と職人技
  オールデンの魅力は、卓越した素材選びと熟練の職人技に核心があります。先ほど紹介したコードバン以外にも、最高峰の革素材に、アイアンシャンクやウォーターロックソールなど上質なパーツを使用しています。
  
  何よりも素晴らしいのが、職人による手仕事です。素材の検品から仕上げまで、約200にも及ぶ作業工程を手作業でおこなっており、全作業を完了するまでおよそ5ヶ月を要します。
  
  作業工程の一例を挙げると、次のような工程があります。
  
  ・アッパーレザーの厳格な品質チェック
  ・コードバンの純天然植物タンニンでなめし、手作業による着色・つや出し・仕上げ
  ・スキンステッチと呼ばれる、革の表面だけを掬い縫い手法により、つま先の縫い目を革表面だけ手縫い
  
  

  

  鑑定士 河西潤太

  すべての工程に熟練の職人の技が光ります。丁寧で本物のものづくりを貫いていることが、オールデンの魅力の一つです。

  2.代表的なモデルとその特徴
  ビジネスシーンはもちろんカジュアルでも合わせられる、多彩なモデルを展開しているのもオールデンならではの一面です。人気の高い代表的なモデルを紹介します。
  
  【990 プレーントゥダービーシューズ】
  
  
  990は、オールデンを代表するフラッグシップモデルです。シンプルなデザインながら、高級感あふれる佇まいが特徴で、ビジネスからカジュアルまで幅広く活用できます。
  
  【986 タッセルローファー】
  
  
  986は、オールデンの代名詞とも言えるタッセルローファーです。アッパーに使用されているスキンステッチは限られた職人しか扱えない技術とされ生産数も多くない点が特徴。
  
  987は同モデルのブラックカラーである事を指しています。同モデルの日本仕様は99162です。
  
  【54321】
  
  
  54321は、オールデンの代名詞的な存在Vチップです。足の負担を軽減するモディファイドラストを使用した人気のモデルです。素材にはコードバンを使用しています。色違いのブラックは54331となります。また54411はカーフを使用したモデルとされています。
  
  【1339】
  
  
  バリーラストを使用したチャッカブーツです。こちらもスーツスタイルからカジュアルスタイルまで汎用性の高いシューズで今までの靴に肩を並べる人気を博しています。1340はブラックカラーの同モデルを指します。
  
  いずれも「エコスタイル」で買取のご相談が多いモデルばかりです。長年愛用することも可能ですが、手放す際は、高値で売れる可能性があります。中古市場で人気が高いため、高額査定が期待できるからです。
  
  

  

  鑑定士 河西潤太

  もし、オールデンの製品を手放す際は、高価買取の実績が豊富な「エコスタイル」までご相談ください。大切な一足を丁寧に査定いたします。

  
  
  
  

• なぜオールデンは140年も愛され続けているのか

  
  オールデンが140年もの長きにわたって愛され続けている理由は、変わらぬ品質へのこだわりと、時代に合わせた進化にあります。伝統を守りつつ、常に革新を追求する姿勢が、ブランドの長寿を支えています。
  
  1.変わらぬ品質へのこだわり
  オールデンの品質へのこだわりは、創業以来変わることがありません。「履き心地のよい、高品質な靴作り」をポリシーに掲げ、ものづくりを続けてきました。
  
  「革のダイヤモンド」と呼ばれるコードバンはもちろん、カーフ（仔牛）やディア（鹿）、キッド（山羊）のレザーやスエードなど、使用するすべての革に高い品質の素材を使用しています。
  
  カーフは細かいきめが特徴で、鹿革は極上の柔らかさを誇ります。山羊は、足になじみやすく履き心地のよさが抜群です。また、オールデンは木型（ラスト）にもこだわりを持ち、「靴は歩くためのギア」という創業当時からの哲学を大切にしています。
  
  

  

  鑑定士 河西潤太

  アメリカでは、10種類以上の木型が使用されており、細身木型のアバディーンラスト、ブーツ木型のトゥルーバランスラスト、モカシンタイプのVANラストなど豊富です。
  
  日本では、日本人の足に合わせた木型を中心に展開し、ミリタリーラスト、プラザラスト、ヴァンラストなど、多様な選択肢を提供してきました。

  
  関連記事：オールデンのラストについて
  
  2.時代に合わせた進化と革新
  オールデンは伝統的なデザインを大切にしながらも、現代的なニーズに応える革新を怠りません。快適性と耐久性の追求は、オールデンの変わらぬテーマです。
  
  例えば、内振りのカーブが強い木型「モディファイドラスト」を用いたシューズは、伝統的な見た目と、現代人にとっては唯一無二の履き心地のよさを両立させています。こうした時代に合わせた進化が、オールデンの魅力を常に新鮮に保ち続けているのです。
  
  3.Made in USA
  オールデンの魅力の一つはアメリカ製にこだわっていることです。
  
  昨今シューズメーカー、ファッションブランドの多くは生産拠点を、製造コストを抑えられるベトナムやバングラデシュ、カンボジアなどのアジア諸国に移しています。そんな中、オールデンはMade in USAを貫いています。しかも、職人による精巧な手仕事は、他ブランドが容易に真似できるものではありません。
  
  グッドイヤーウェルテッド製法発祥の土地で、同じ製法を守り続けていることは、ブランドの誇りでもあり、ポリシーを守り抜く姿勢の現れです。アメリカ製のこだわりが、ブランドの信頼性と価値を支えています。
  
  4.見事なエイジング
  オールデンの靴は、使い込むほどに味わいが増していきます。数年どころかメンテナンスをすれば10年以上、履き続けることが可能です。さらに天然皮革ならではの美しい経年変化を、アウトソールだけではなくインソールも楽しめます。
  
  特にコードバンは、長年の使用で生まれる独特の艶と風合いが魅力です。中でも綺麗なのは、ナンバー8と呼ばれる伝統的カラー、ダークバーガンディ（Burgundy）です。英語でフランス・ブルゴーニュ地方を意味し、ワインの色合いをしています。履くほどに、そして磨くほどに輝きを放ちます。
  
  見事なエイジングが、オールデンファンを増やし続ける要因の一つとなっています。
  
  5.あらゆるスタイルに存在感を与える
  オールデンの靴は、ビジネスからカジュアル、フォーマルまで、幅広いシーンでのスタイルに対応できる多様性と、汎用性の高さを持っています。クラシックなデザインでありながら、現代的なファッションにも自然に馴染む存在感は、多くの人々を魅了し続けています。

• オールデンが日本で愛される理由を990から紐解く

  
  オールデンは日本でも高い人気を誇っています。その理由を、代表的なモデルである990を通して見ていきましょう。
  
  1.ファーストオールデンからコアなファンにも選ばれる名作
  990は、外羽根プレーントゥの革靴です。オールデンの入門モデルとしても、コアなファンの定番としても愛されている一足です。
  
  シンプルで洗練されたデザインだからこそ、エイジングによる風合いの変化が分かりやすく、履き込むほどにコードバンらしい馬革の味わいが奥深くなっていきます。さらにレングスが長めなこともあり、ビジネスからカジュアルまで幅広く活用でき、日本人のファッション感覚にもマッチしています。
  
  

  

  鑑定士 河西潤太

  少し専門的な話をすると、リバースウエルトと呼ばれる製法でレザーソールを縫い付けられているため、タフで重厚感のある印象を与えます。リバースウエルトは、オールデンでよく見られる形状です。厚みのあるウェルトの半分を裂き、Y字にして割いた部分の下部はアッパーとインソールに縫い付け、上部をアッパーの側面に沿わた形となります。防水性や防塵性の機能性も高いのが特徴です。

  
  
  2.日本人の足型との相性のよさ
  990に使用されている木型はバリーラストです。バリーラストはドレスシューズ向けの古典的な細身の木型で、日本人の足型に適していると言われています。なぜなら、甲部分が締まっており、つま先に適度な余裕があるため、とても履きやすい特徴があるからです。アーチの絞りは緩めです。履き心地がよく、長時間の着用でも快適な履き心地を提供します。
  
  3.セレクトショップとの別注モデルも話題に
  日本の有名セレクトショップとのコラボレーションで生まれる別注モデルも、オールデンの人気を支える要因の一つです。BEAMS（ビームス）、UNITED ARROWS（ユナイテッドアローズ）、SHIPS（シップス）の別注モデルを発表し、話題を呼びました。
  
  990をベースにした別注モデルは、オールデンの伝統的な魅力に日本独自の感性を加えた特別な一足として、多くのファンを魅了しています。こうした取り組みが、オールデンと日本の消費者との強い結びつきを生み出しているのです。

• オールデンの買取は「エコスタイル」にご相談ください

  
  オールデンの歴史と魅力をテーマに今回は記事をお届けしました。まだオールデンを履いたことはない方は、ぜひ一度履き心地を味わってみてください。
  
  なお、私もオールデンの愛用者です。下の画像はコレクションの一つ「オールデン アバディーンラスト 6845コードバンペニーコインローファー」です。アメトラのシンボリックな存在であり、エイジングとともに輝きを増しています。
  
  

  

  今回は鑑定士だけではなく、オールデンを実際に履きこなしてきたからこそわかる、ファンの視点でも創業140年の魅力を語って参りました。
  
  オールデンを購入するために今所有している靴を手放したい方、もしくは愛用しているオールデンの処分を検討されている方は、ぜひエコスタイルをご利用ください。
  
  オールデンをこよなく愛し、オールデンの買取にも数多く携わってきた鑑定のプロが、確かな目と確かな知識で1足ずつ査定いたします。まずは無料のお見積りのご相談だけでも歓迎いたします。査定後のキャンセルもできますので、買取サービスが初めての方もご安心ください。皆様のご利用を心よりお待ちしております。